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■ショパンとオーギュスト フランショム - Chopin : Cello Sonata -

ピアノの詩人とよばれるショパンが生涯に残した曲はほとんどがピアノ曲だが, 4曲作られた室内楽曲のうち,フルートとピアノのための作品を除く 3曲は,青年期に書かれた 『 序奏と華麗なるポロネーズ 』 と 『 マイアベールの主題によるグラン デュオ コンチェルト 』 ,晩年に書かれた 『 チェロソナタ 』 で,チェロとピアノのデュオで,チェロソナタは唯一ピアノが 『 伴奏 』 というスタイルではなく 『 対位法 』 ,チェロとピアノが対等にお互いをサポートする関係になるように書かれてる。

39歳で亡くなったショパンは,ジョルジュ サンドと別れ,結核もどんどん悪化し,困り果てた状況でショパンはパリに戻った。パリに戻ったショパンを支えたのは友人で 『 画家のドラクロア 』 や 『 チェリストのオーギュスト フランショム 』 だった。

ショパンがピアノの次にチェロを愛し,そのための作品を多く残したのは,親友でチェリストのフランショムの影響が大きく,15年ほどのフランショムとのつき合いのなかで,譜面の清書などをしてもらっていたこともあって,長年の友情に報いるためショパンは自分のピアノとフランショムのチェロの特性を最大限に生かせるようにチェロとピアノの曲を思いを込めて書いた。

■ショパンのチェロソナタ - Cello Sonata -

ショパンが残した最後の大作の 『 チェロソナタ短調 Op.65 』 は,1846年に完成した。チェロの低音部とピアノの高音部がとても相性がよく,チェロの旋律がすすり泣きのように聴こえ,ピアノのパートに時折ショパンらしいパッセージが出現し,構成的にピアノソナタ第 3番に似ている。

このソナタは作曲技法的には,チェロとピアノを対位法的,協奏的にフレーズを展開し,チェロ独奏とピアノ伴奏という形態ではなく,
ピアノもチェロも同等で,対位法を利用して音楽的な説得力を発揮させている。

チェロを演奏している人にとっては 『 あのショパンがチェロのために作った,いつか弾きたい憧れの曲 』 として有名だが,ピアノのパートはもちろん,チェロパートもかなりの演奏技巧が要求されるため,アマチュアにはハードルが高い曲となっている。

この曲はチェロのために作られたショパンの生涯最後の大曲であるが,もちろん本人はこれで終わりにするつもりはなく,死の直前まで様々なモチーフや曲のスケッチを残していた。

ピアノソロ曲以外にもバイオリンソナタなどのスケッチも含まれていて,ピアノ専業から脱皮しつつあったショパンを伺い知ることができ,舟歌,幻想ポロネーズなどでピアノの可能性を存分に広げたショパンは,このチェロソナタを足がかりに室内楽の世界へといくつもりだったようだ。

■最後の作品 チェロソナタ

生前に発表,出版された最後の作品で,チェロはヴァイオリンよりも音域が低く音量はピアノに対抗できる豊かさがある。ショパンの作品中にヴァイオリンソナタがなくチェロソナタのみがあるのはチェロ奏者との交流だけでなく,ピアノと対等にソナタを構成する楽器としてのチェロの豊かさを評価していたからである。

▼第 1楽章 ソナタ形式

ショパンとフランショムによる最初の演奏会でも第2楽章以降のみ演奏され,かなり高度な和声法,転調技法,対位法,展開技法などが駆使されているため,あまりにも難解な曲とされるが,ショパンのソナタ楽曲は年を追って展開部が充実するが,最後のソナタとなったこの曲の展開部は非常に素晴らしく,大きな聴き所になっている。

▼第2楽章 ニ短調

チェロとピアノの扱いは第一楽章よりはっきりしていて,スケルツォ部では一貫して対立関係にあり,トリオでは一転して協調関係に変わる。このようなアンサンブル関係の変化を鮮やかにやってのけるところに,それまでピアノ専業だったショパンの作曲家としての進歩を見ることができる。

▼第3楽章 変ロ長調

これより約 10年前に書かれた,ピアノソナタ第2番の葬送行進曲との関連性がしばしば取りざたされ,この作品の中ではいくらか親しみやすい楽章である。

▼第4楽章 ソナタ形式

スケッチのみで残されている未完の,オクターヴのカノンの半音階的な主題が使われ,対位法的に絡み合って進み,転じて第 2主題は全音階的な重音奏法となり,対比され,後に飛び跳ねるようなコデッタが続き,フィナーレにふさわしい,白熱した展開を繰り広げたあとコデッタ主題により終結する。


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